医療不足・看護師不足

加齢と共に体が弱り、怪我や病気をしやすくなる高齢者にとって医療は切っても切り離せないものです。しかし、高齢化社会の進み具合によっては、今後高齢者が満足できる医療を受けられなくなる可能性もあります。

そんな深刻な事態を招く引き金が、医療の現場の人材不足で、看護師や医師が慢性的に不足した状態になっているのです。これは未来の問題ではなく、すでに現実の問題として現在人が直面しているもので、まだまだ小さな問題が表面化しているだけなので、その深刻さに気づかないだけなのです。

医療不足から引き起こされるさまざまな問題点

看護師や医師などの医療の現場に携わる人達が不足してくれば、全国の高齢者達に医療を受けられない人達が増えてきます。私達が当たり前に感じていた先進国ならではの質の高い医療が受けられなくなる可能性があるということで、これは決して高齢者だけの問題に留まらないでしょう。

医療の現場の人材が不足するということは、働き盛りの若者が満足な医療を受けることができず社会復帰が遅れ、若い世代の働き手が不足するということも考えられるのです。

さらに、医療現場の人材が不足することの恐いところは、問題が単なる人材不足で留まらなくなるというところです。上に挙げたような働き盛りの世代が満足な医療を受けられなくなるというのもそうですし、国全体の医療の質の低下をも、もたらします。

仕事量が増えるに伴い、リスクも増える

医師や看護師が不足してくると、ある現状が医療の現場で見られるようになってきて、それが一人一人の仕事量の増加です。

今までは2人で行うのが当たり前だった行為を、今後は1人で行わなければならないといった状況が頻繁に見られるようになり、様々な負担やリスクが増加していきます。

簡単な例を挙げるならば、看護師や医師の勤務時間が長くなり、肉体的、精神的な負担が増大するでしょう。これが増大するとリスクも増大し、医療ミスや過労、精神障害など様々な問題が発生してくるのです。

これらの結果、医療の質が著しく低下することになり、この時点ですでに単なる人材不足ではおさまらない事態に発展していることがわかることでしょう。さらに、こうした状況が医療現場を去ってしまう人達の増加を招き、最悪の状況を考えるならば、満足な治療のできるスキルを持たない医師や看護師の横行という事態も想定できるのです。

このような医師や看護師不足の打開策としては、医療現場で働ける人材の育成もそうですし、すでに医療現場で働いている人達の負担軽減も重要となります。

また、一人一人がこの深刻な医師や看護師不足となっている現状と向き合って、自分が何をしていけるか考えることも重要ではないでしょうか。

国民一人一人が意識を持ち医療知識を高めて、例えば病院への来院が必要ない程度の怪我ならば自分で措置をする、このような小さな行動が重なるだけでも国単位になれば大きな力となるのです。