社会保障費の増大

今後も進んでいくことが見込まれる社会保障費の増大ですが、国による早急な対策が必要になってきます。そもそも現行の社会保障制度は、高度経済成長期に骨組みが作られたものなので、現在の少子高齢化時代には全く合っていない制度なのです。

この制度の抜本的な改革がなければ、今後よりいっそう激しくなる高齢化社会の波には対応することができないでしょう。

ただちに国による対策が求められる

現状の社会保障制度は、3つの柱によって組み立てられているといえて、一つ目が皆保険や皆年金が原則というものです。

しかし、高度経済成長期においては正規雇用、終身雇用といったものは当たり前でしたが、現在は非正規、完全失業率の増加、さらには就業意欲の低下した若者が多数存在する時代となります。

また、現在のわが国は成長期を終え、停滞期に入ったという部分にも注目したいところです。現行の社会保障制度には、右肩上がりの経済成長というものが必要不可欠になっており、停滞期にこれを維持するのは難しくなっています。

正規雇用や終身雇用が崩されたということは、就業形態の多様化を意味するものでもあって、これによって必ずしも企業の福利厚生が充実しているわけではなくなっているのです。

また、不況下において企業が福利厚生の縮小をする状況も目立っており、社会保障制度3本目の柱も満足に機能していない状態となります。このように具体的な例を挙げてみると、現行の社会保障制度は機能していない部分が多く問題点だらけだということがわかるでしょう。

増え続ける社会保障費

2014年現在の社会保障費は、1990年に比べて約3倍程度にまで増加しており、慢性的な財源不足に陥っています。現状はある程度社会保障制度が機能している状態ではありますが、これは財源を借金に頼っているからのものであって、社会保障費の増大と比例するように国の借金である国債の発行額も増大しているのです。

国債の発行額にいたっては、なんと1990年に比べて約6倍にまで膨れ上がっています。このようなことからも、第一打開策として安定的な財源の確保は急務であるといえるでしょう。

また、少子高齢化の現状においては、今後急激な人口増加は望めないので、それを踏まえた上で人材一人一人が能力をどれだけフルに発揮できるかという部分も重要になってきます。

少子高齢化、国の停滞期に合わせた社会保障制度の実装も大切で、無駄があれば省き、効率を求める部分は徹底して求めるという取り組みが必要です。

国民一人一人の意識の問題も当然関係してくるので、地域社会の繋がりを高めて国の負担を軽減するような行動を目指すような取り組みも必要となります。