生産年齢人口の減少

生産年齢人口の減少も高齢化社会の問題点として指摘されています。生産年齢人口とは、15~64歳までの就業意欲が旺盛であるとされる世代の人達を指していて、高齢化社会においては、人口全体におけるこの生産年齢人口の割合が少なくなってくるのです。

生産年齢人口の割合が少しずつ減ってくると、それと同時に国力も少しずつ低下していくといえるでしょう。現在を世界全体で見てみると、国同士が様々な分野で競争している状態だといえて、価格競争に技術競争など色々な部分で競い合い国力を示しているのです。

先進国は一定以上の国力を持っている国というとらえ方もできますが、生産年齢人口の割合が少なくなってくると、先進国同士の競争に打ち勝てないという状態が考えられます。

わが国は、高度経済成長以来長くにわたって先進国としての国力を維持してきましたが、それが超高齢化社会ともいえる問題により、崩れ去ろうとしているのです。

また、わが国は成長期と呼べる段階を既に終えている状態で、停滞期というに相応しい段階です。このような段階においては人口が爆発的に増えることは考えられず、今後もこれ以上に生産年齢人口の割合が少なくなっていくことでしょう。

しかし、この現状を黙ってみているわけにはいかなく、それ相応の対応が必要になってきます。生産年齢人口の減少による国力の低下を防ぐためには、生産年齢人口の質を高めていく必要があるのです。

一人一人の質を高めて国同士の競争に立ち向かってはいかなければならず、能力の上昇はその中でも一番重要な部分でしょう。さらに、どの分野を重視していくかというのも重要で、柔軟な発想の得意な若者達の思考を利用して、ITや情報技術の分野に率先して取り組んでいくというのもひとつの方法です。

そして、より長い目でこの問題に取り組んでいくのならば、教育方針の改革も必要になってくるでしょう。

生産年齢層の質を高めるためには成人してからでは遅いという考え方もできるので、義務教育の内容を改善して、より質の高いスキルや能力を持った若者をどんどん増やしていこうという取り組みも重要になってきます。

また、その教育の過程において旺盛な就業意欲を育てることも重要で、そのような教育を施すことができるのならば、近年問題になっている若者の就業意欲低下の問題なども同時に解決できるのではないでしょうか。

このように高齢化社会における生産年齢人口低下の問題は、多角的な視野を持って取り組んでいくべき問題なのです。